Design Solution Forum 2022 出展レポート
2022年12月08日
11月25日(金)に、JR/東急 武蔵小杉駅にほど近い川崎市コンベンションホールにて開催された「Design Solution Forum 2022」に出展しましたので、その模様をレポートします。
同展は、組込みシステムにおけるソフトウェアおよびハードウェアのデザイン手法を技術者同士で議論する場として、2014年にスタートした技術フォーラムで、図研は2019年に初参加。当初より、製品開発を成功に導くため、設計上流からのシステム全体最適化を、MBSEソリューション「GENESYS」を用いてご提案してきました。
意識の高まりに対応し、より現実適用に則した内容を訴求
今回は、「なかなか実践適用に至らない」といった、近年よく伺うMBSE活動の停滞についての知見から、「お客様の業務プロセスに対してどうMBSEが活かされるのか」にフォーカスを当て、MBSE導入検討・適用のヒントとなるような内容で講演しました。また展示ではGENESYSに加え、ハードウェア要件を適確に具現化する設計環境、LTspiceを活用した回路設計/検証の統合環境として、CR-8000 Design Gatewayを中心としたソリューションもご紹介しました。
講演は、図研 事業本部 SE統括部の阿部 稔が「MBSEソリューション『GENESYS』を活用したシステムアーキテクチャ設計へのMBSE適用例」と題して行い、以下のような内容をご紹介しました。
●MBSEはなぜ必要かとの提起
●必要な情報を「モデル」に貯めていくイメージ
●ダイヤグラムに書くだけでドキュメントベースのままになってしまうという陥りがちな状況
●目指す先はモデルベースであり、データを構造化して目的・用途に適した表現にすること
●GENESYSを用いたMBSE推進の具体的なメリット
●ドローンを例とした製品開発の流れのデモ
展示ブースは、講演を聴いて寄ってくださった方もいらっしゃり、後半になるほど盛況になっていきました。問題意識は高いものの、MBSEについては本格運用はまだとのお客様が多く、「要求に合った設計ができていない」「不具合・要求変更による工数増大を課題と捉えている」「上流設計をしっかり行うこと、全体俯瞰の必要性を強く感じている」などといった現況を伺うことができました。それに対し、説明員からはGENESYSによるMBSE適用や、また回路設計・検証以降のフローも含めた全体イメージなどをご紹介し、熱心に聴いていただきました。
技術者からなる実行委員会が決定した多彩な講演が目白押し
技術者主体をコンセプトとしている本展では、企画内容を技術者で構成される実行委員会で決めており、実に多彩な講演ラインアップが用意されていました。せっかくなので、自社以外にもいくつか聴講してきました。
まずは「日本に必要なビジョナリーとは?」と題した基調講演、最近ひっぱりだこで休む間もないというものづくり太郎氏です。とある中国メーカの工作機械を例に挙げた全体最適の話を皮切りに、欧米と日本のモノづくりの違いを豊富な事例とともに説明し、「隣の技術にも興味を持つことで全体最適の俯瞰ができるように」との提言をされていました。
これ以外に、近年注目されているチップレットの概説とコ・デザインについて、メタバースの定義とXR(VR/AR/MR)の種別およびバーチャルならではの取り組み、デバイスとクラウドをつなぐことでモノやコトをデジタル化するIoTをキーとしたDXの4つのステージといった講演を、いずれも非常に興味深く聴講することができました。
あくまで技術者のためとして先鋭化されつつ、よい意味で手弁当感がある本展は、来場者・出展者両方の熱量が感じられるイベントであると感じられました。次回も楽しみにしています。
なお、本展で図研が行った講演の資料の抜粋版をダウンロードしていただけます。図研のコミュニケーション・プラットフォーム「ZUKEN digital」にログインしておくと、個人情報入力が不要となりますので、まだ会員登録がお済みでない方はこの機会にぜひ!