第5回 電子工作ナレッジの共有サイトから、イノベーションを起こしたい!
2020年04月15日皆さん、LeafonyのBasic KitとExtension Kitのセット(通常価格約3万円)が、なんと30名様に当たってしまうというキャンペーンをご存じでしたか? かなりの高確率でゲットできそうな本キャンペーンについては、専用ページ でご確認いただくとして、この“elchika”というサイト、電子工作好きであれば必ずやグッと来そうですよね!
今回、”elchika”を運営しているエイミー株式会社のオフィスにお邪魔し、代表 竹本様にお話を伺ってきました。読んでいただければ、きっと”elchika”を使ってみたくなりますよ!
(※本件の取材は、3月某日に竹本様と編集局1名にて行われました)
最初はアレを売っていた?! 代表 竹本様、経歴の振れ幅がスゴい
実は図研とも馴染みの深いモノづくり企業から社会人キャリアをスタートさせた竹本様。ほどなく独立を決意するのですが、それが意外な業種で、さらに意外な方向に進みます。
編集局:まずはエイミーの成り立ち、その前に竹本様の経歴を教えていただけますか?
竹本様:新卒で富士機械製造株式会社(現在の株式会社FUJI)に入ったんですが、若かったというのもあって、何か自分でやりたいなと思い、5年ほど経った時に退職しました。
それで、アパレルから始めたんですよ。服が好きだったので、というただそれだけの理由で。お店を出したかったんですけど、資金がなかったのでWebショップにしよう、ということでWebの勉強をした…というのがスタートなんです。
そうやってWebで服を売っていたんですが、思うようには伸びなかったんです。それで次に考えたのが、クレジットカードの比較サイトだったんですね。「こういう人には楽天カードがお勧め」といった。これが思いのほか収益が伸びまして、それまで地元豊田、そして名古屋でやっていたんですが、いよいよ東京に進出して社員を募集して、もっとビジネスを伸ばしたいなと。
編集局:それが”elchika”というわけですね。
竹本様:いえ、最初からというわけではなく、いくつかのサービスにトライした結果、コアなユーザに届けるサービスを、スモールビジネスとして始めてみよう、ということで社員のアイディアから始めたのが”elchika”でした。サイトのテーマは結果として電子工作になりましたが、私自身にそうした知識があったというわけではないんです。実は理系出身でもなく、新卒時も経理だったんですよ。でも、こうして電子工作のサイトを立ち上げているわけで、富士機械製造から社会人キャリアをスタートさせたこととか、愛知県豊田市という街にいたこととか、モノづくりというところとの縁は感じますね。なにより、富士機械製造を辞める時に、当時の上司に「竹ちゃん、やっぱり日本はモノづくりだよ」と助言いただいたことが、もっとも強く縁を感じている所以です。
(ここでしばし、同じく文系出身で異業種からの転身である編集局と、アパレル業界での苦労話などで盛り上がる:実は新卒時にアパレル経験のある編集局)
プロダクトである”elchika”でのビジネスモデルとは?
編集局:「まだ誰も知らない斬新なアイディアで、時代のニーズに合わせたプロダクトを開発する」と御社のサイトにあったのですが。
竹本様:はい。会社のテーマとして、「世にないものを作ろう」というのがあって、そうしてできたのが”elchika”というわけです。当社のプロダクトはこのサイト、ということになります。
編集局:なるほど。そうなると気になってくるのが、”elchika”での収益の仕組みなんですが…。
竹本様:実は、今現在はまだ”elchika”の売上げはゼロで、(前述の)比較サイトでの蓄えで運営しています。といっても当然マネタイズしていかないと、サービスとして成り立ちませんよね。まずはWebサービスでのマネタイズ手法としてもっともポピュラーなのは「広告」でして、”elchika”にも表示してあります。しかし、ご存じのように広告での収益化というのは、圧倒的にアクセス数が伸びないと厳しいです。
それで、やはり行く行くは「日本のモノづくりをバックアップしていきたい」という想いがありまして、企業様にぜひこの”elchika”を使っていただきたいと考えています。
編集局:確かに、現状はほとんど個人会員が投稿しているようですね。企業にも使ってもらいたいというと…。
企業に活用してもらいたい! Organization機能とは
竹本様:最近実装されたばかりなんですが、Organization機能というのがありまして、「映像機器を作っているA社」とか、「自動車を作っているB社」といった単位で、Organizationを設定することができるんです。例えばA社のOrganizationというのはA社の社員だったり、A社のファンだったりで構成されていて、A社Organizationのトップやそこに投稿される個々の記事にはA社出稿の広告が表示されるようにします。
編集局:A社Organizationのメンバーが投稿をすればするほど、A社広告の表示機会も増えるわけですね。
竹本様:はい。製品広告でもいいですし、採用広告も考えられます。ここに投稿されている個々のトピックにあるようなナレッジというのは、あくまで「個人」に紐づいているものだというのが”elchika”の考え方でして、A社の技術というのは、A社の一誰かが持っている技術だと思っているんです。だから、社内で研究している例えばAIに関する知見について、(その企業の特許などではないような)出せる部分はどんどん出して、自社の技術力をアピールするといったことを、”elchika”を使ってやってもらえればと考えているんです。
編集局:なるほど。でも、いきなり業務と直結するような技術トピックを…というのはハードルが高そうですね。
竹本様:はい。”elchika”としてもあくまで「趣味」についてのサイトであるというコンセプトは崩したくないので、例えば会社では”X”という言語でソフトウェアを書いているけれど、業務では使っていない”Y”という言語に関するナレッジがあるんだよなぁ…という時に、”elchika”で投稿してもらえればと思っているんですよね。「A社がスゴイ」というのではなくて、「A社Organizationに属している人は、こんな技術を持ってるんですよ」ということが可視化できればいいなと。
編集局:伺っていると、大企業はもとより、中小の企業による技術力のアピールに活用できるような気がしますね。
竹本様:そうですね、Organizationの使い方で特に制約というのはなくてそこは自由なので、例えば中小の企業様で「(elchika会員になっている社員に対し)会社としてこういう種類の情報を発信していってくださいね」というのもありですし、「君たちが普段趣味の領域で語りたいことを自由に投稿していっていいよ」というのもありだと思うんです。いずれにせよ、企業のブランディングや、採用などに有効に使っていただけるのではないかと。
なお、Organizationの活用はなにも企業に限ったことではなく、例えばロボコンサークルであったり、秋葉原のパーツショップであったり、AruduinoファンとかLeafonyファンとかでもいいと思っています。会員によるOrganization機能の利用は無料で、あくまで機能利用時に表示されるページへの広告出稿で料金をいただくような想定をしています。
Leafonyとの関わり、そして図研とのWin-Winとは?
編集局:さて、それで今回のLeafonyキャンペーンになるのですが、そもそも御社とLeafony研究会との関係というのは。
竹本様:はい。まだローンチ間もないサービスでしたので、会員数も記事投稿数も増やしたいと考えていて、何かしらのキャンペーンを検討していたのですが、日本のモノづくりを応援したいという趣旨のサイトなので、日本の製品がいいよねと。
編集局:確かに、「(英国発祥の)ラズパイあげます」ではイマイチな感じが…。
竹本様:そうなんです。そんな時に社員からLeafonyの提案があり、私が桜井先生(本連載で度々紹介している、トリリオンノード研究会の代表 桜井貴康 東大名誉教授)の研究室にお邪魔して、”elchika”の趣旨やキャンペーンのことなどをお伝えしたところ、(本連載第4回でレポートした)研究会に来てみませんかと。実は我々、まだ研究会員ではないんです。
編集局:そうなんですか! 研究会で発表されていたので、てっきり。
竹本様:あくまでご厚意でやらせていただいたんですが、今後は正式に会員になりたいと考えています。”elchika”と研究会とで、Win -Winな関係を築ければと。
編集局:図研としても”elchika”とのWin-Winな関係をと思いますが。
竹本様:それはぜひ。先ほど申し上げた通り、Organizationには制約はありませんので、例えば図研の社員の方やファンの方などで、Organizationを作っていただくというのはどうでしょう。ただし、投稿には今のところ条件がありまして、電子工作のナレッジに関するもの、となっています。とはいえ、図研さんのCADによる回路・基板設計も電子工作の分野に包括されていると考えますので、ナレッジの投稿であればまったく問題ありません。”elchika”を電子工作のナレッジについてのサイトとして軌道に乗せて、個人のみならず企業様にも大いに活用していただけるようにしたいと考えています。
編集局:わかりました。まずは今回の取材で、”elchika”を多くの読者に知ってもらえるように頑張りますね。
おまけ:
今回お邪魔したエイミーさんのオフィスで、興味深いものを見つけてしまいました!
図研ボードゲーム部でもおなじみの「カタンの開拓者たち」も!