市場競争力を高めるサスティナブルな製品開発

─GENESYS, DS-2, CR-8000を使用した改善提案─

今回は、海外拠点のメンバーが公開したブログの内容をご紹介します。
記事では国内で展開する製品とサービスに合わせて内容を一部改変していますが、今後日本でも広がる可能性が高いサスティナブルな製品開発についてのブログですので、ぜひご一読ください。
原文 : https://www.zuken.com/en/blog/sustainable-product-development/

世界のエレクトロニクス産業が直面する新たなチャンス

エレクトロニクス産業は、世界で最も急速に成長している産業の一つであり、毎年数百万台の電子機器が生産されています。しかし、残念なことに、これらの電子機器の多くは最終的に埋め立てられ、有毒な化学物質を環境中に放出してしまいます。さらに、その生産は、温室効果ガスの排出や天然資源の枯渇の原因ともなっています。
そのため、エレクトロニクス企業にとって、経済成長と環境保護を両立させる持続可能な製品開発手法を採用することが不可欠となっています。

サスティナブルな製品開発とは?

持続可能な製品開発とは、将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在のニーズを満たす製品を設計・開発することを指します。つまり、環境にやさしく、社会的責任を果たし、経済的に実現可能な製品を作ることです。

エレクトロニクス産業において、サスティナブルな製品開発を実現する方法には、以下のようなものがあります:

① エネルギー効率: 電子機器のエネルギー消費を削減し、業界のカーボンフットプリントの削減に貢献できるように、エネルギー効率の良い製品の設計が求められます。
② 製品の長寿命化: 交換の必要性を減らし、電子廃棄物による環境への影響が軽減できるように、できるだけ長持ちする製品の設計が求められます。
③ リサイクルを考慮したデザイン: リサイクル可能な材料を使用する、製品の分解を容易にする、有毒化学物質の使用を減らすなど、リサイクルや再利用を考慮した製品設計が求められます。
④ ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment): 製品の環境負荷を低減するための改善点を特定するには、原材料の調達から製品寿命末期の廃棄まで、製品のライフサイクル全体を考慮する必要があります。
⑤ 社会的責任のあるサプライチェーン: 公正な労働慣行や環境に配慮した原材料の調達など、倫理的で持続可能な慣行を用いていることを確実に実践されるように努める必要があります。

グリーン・デザインの実践は、正しく行えば、企業のコスト削減、製品性能の向上、企業評価の強化に貢献することができます。

製品開発プロセスにおけるサステナビリティの実践

サスティナブルな製品開発プロセスは、他の設計プロセスと同じように、製品の要件とその使われ方を理解することから始まります。その上で、それぞれのユースケースに関連する環境への影響を理解することが極めて重要です。これには資源消費だけでなく、エネルギー使用量、廃棄物発生量、CO2排出量も含まれます。
電子設計のシステムレベルでは、エンジニアは熱管理、放熱、電力消費を改善することでエネルギー効率を高めることに取り組みます。また、製造に必要な材料の量を削減する方法も検討します。
製品開発の初期段階において、設計者は各材料や工程が、リサイクルや再利用が容易な代替品や代わりの方法に置き換えられないか判断しなければなりません。材料の環境持続可能性への取り組みは、ますます複雑になっています。かつては、電子部品のパッケージから個々の難燃剤や重金属を除去することが主な課題でした。しかし、現在では、いわゆる紛争鉱物、レアアース、ハロゲン系難燃剤など、エレクトロニクスにおける環境の持続可能性は、より広範な問題に関係しています。
製品レベルでは、ネットワークを介して消費電力をコントロールする技術が重視されます。そして、製品のライフサイクルを通じて、その設計判断の結果が環境に与える影響を考慮する必要があります。
そして、製品の寿命が尽きると、設計者は製品が安全基準を満たし、規制を遵守していることを確認しなければなりません。これには、鉛、水銀、カドミウム、ヒ素、臭素、塩素、ポリ塩化ビフェニルなどの有害物質が廃棄前に確実に除去されるようにすることが含まれます。

グリーン・エンジニアリングのための適切なツール

製品のCO2や環境負荷物質の生涯排出量の5分の4は、設計段階での決定事項によって決まります。ライフサイクル全体で資源の使用を抑えつつ、性能と品質の要件を満たす持続可能な製品を設計するためには、これらの決定を正しく行うために必要なすべてのツールを持つことが不可欠です。
図研のMBSEソフトウェアGENESYSは、部門をまたいだ意思決定プロセスにおける要件の記述と追跡のための理想的な環境を提供します。GENESYSでは、要件、振る舞い、実現方式などをシステムモデルとして構築します。
複雑な問題を構造的に記述することにより、相互関係の把握や影響範囲分析に役立てることができます。

MBSEソリューションGENESYSでは、要件、振る舞い、実現方式などを構造的に記述可能

システムレベルの基板設計システム「CR-8000」とデータマネジメントシステム「DS-2」は、電子設計のライフサイクル全体をカバーするため、グリーン・エンジニアリングの実践をサポートするのに最適です。その強力な機能により、材料や消費電力の削減、信頼性の向上を図りながら、市場投入までの時間短縮とコスト削減を実現します。

CR-8000 Design Forceの組み込み型パワーインテグリティ解析でエネルギー効率の最適化を実現

DS-2は、SiliconExpert社のプラットフォーム(20,000の電子部品販売業者とサプライヤーを含む)などの部品ライブラリへの直接インターフェースを備えており、業界で最も包括的で偏見のない電子情報源となっています。つまり、重要な部品情報を電子設計システムに直接供給することができるのです。これには、使用する材料の危険有害性パラメータも含まれます

SILICONEXPERTのインテリジェントコンポーネントライブラリとの連携

DS-2は、使用材料のハザードポテンシャルに関するパラメータを含むコンポーネントライブラリとのダイレクトインターフェースを備えています。

設計は、部品レベルだけでなく、フットプリントレベルでも検証することができます。CR-8000 Design Forceが提供する「仕向け管理機能」は、ソフトウェアベンダーの中でもユニークなものです。その結果、CR-8000システムは、すべてのECADオブジェクトに対して、市場にある多くのPCB設計ソリューションの単純な部品交換を超えるバージョン管理を行うことができます。

CR-8000 Design Forceは、洗練された部品仕向け管理機能を提供

持続可能な活動を実施することで、エレクトロニクス産業は環境への影響を軽減し、より責任感のある倫理的な業界を作り、将来の世代が繁栄するための十分な資源を確保することができるのです。

いかがでしたか?
図研の英語版サイトでは海外拠点メンバーが書くブログ記事を公開しています。海外事例を紹介した記事なども掲載されていますので、ぜひご覧ください。
https://www.zuken.com/en/blog/

また、今後も、いい記事があれば、Club-Zでも紹介していこうと思いますので、ご期待ください。

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