ノイズ経路を試作前に可視化! 進化した3D EMC Adviser Rel.2025のチェック機能

エレキ・メカを融合したEMC設計検証ツールとして2023年に発表、その年の「JPCA賞アワード 奨励賞」を獲得し脚光を浴びた 3D EMC Adviser が、Rel.2025でチェックルールを2つ追加実装し、さらに強力になりました。最近の導入検討トリガーにもなっているこの2つのルールを、わかりやすくご紹介します。

 

「外来ノイズ干渉」ルールの新設

外来の伝導ノイズによる基板への干渉箇所を検出・評価することができるようになりました。


図1

 
図1は、コネクターから侵入した外来ノイズが基板GNDと接触しているネジを通って基板の外に流れるまでに、ノイズに弱い部品や信号に干渉している様子を可視化したものです。基板下部の左右にある2つのネジはコネクターに近いにも関わらず、基板GNDに接触していないため、ノイズはコネクターから遠い基板右上のネジ(A)に流れ、基板上の部品や信号に影響していることがわかります。


図2

 
基板上のIC、およびセンサー部分のパターンを拡大してみると、それぞれ外来ノイズ経路が干渉していることがわかります(図2)。こうしてツール上で可視化された問題箇所を見ながら、他部署のメンバーと対策方法を検討することも可能です。

次に対策を施したデータを見てみます。基板下部の左右にあった2本のネジを基板GNDに接触させ、電気的に接続しました。このデータにEMCチェックを再実行し、対策効果を検証してみます。すると、今度はコネクター近くにある2つのネジに向かってノイズが流れるようになりました。ノイズ経路がICや信号パターンから離れ、干渉が解消されたことがわかります(図3)。


図3

 
このように、試作・組立前にツール上で外来ノイズのチェックが実施できるようになります。

 

「安定GND接続」ルールの拡張

Rel.2024での「安定GND接続」ルールを拡張し、従来の基板上のノイズ経路に加えてメカ上の終点(アース)までの一連のノイズ経路を探索できるようにしました。
図4は、コネクターから侵入した外来ノイズが、基板上を流れた後にネジを通ってメカに抜けた後、終点として指定したメカ上のアースまで流れる経路を可視化している様子です。


図4

 
コネクターに近い画面手前のネジは基板GNDに接触していないため、ノイズはコネクターから遠いネジ(A)を経由した遠回りの経路で流れていることがわかります。このように、エレキとメカを合わせた一連のノイズ経路を視覚的に確認しながら、問題箇所を特定したり、メカ設計者と対策方法を検討したりすることができます。

次に対策を施したデータを見てみます。画面手前のネジを基板GNDに接触させることで、ノイズがそちらに向かって流れるようになり、対策前よりも効率のよい、より短い経路長での接続状態となっていることがわかります(図5)。


図5

 
このように、試作・組立前にツール上でエレキとメカを含めたシステム全体でのノイズ経路をチェックすることができるようになります。

より強力になった3D EMC Adviserで、エレメカ融合EMC設計検証による品質改善・効率化をぜひ実感してください。

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