case15:経験の少ない若手が、EMCに強い設計をするには?

今回の相談者は、基板設計会社に勤める設計者アキオミ(39)さん。産業用の画像制御基板の設計を担当しています。基板設計チームのリーダーをしていますが、チームは若手で構成されており、EMCのようなアナログ的な課題に上手に対応する技術が不足しており苦労しているようです。


【case15】
画像制御基板の設計チームリーダーをしています。若手が作成した基板が毎回EMI試験にひっかかってしまうのですが、教える時間がありません。問題となる基板の数を減らしたいのですが、何かいい方法はありませんか?
 

(基板設計者 アキオミさん)


桃子先生、ちょっと相談してもいいですか。ウチの若いメンバーが作った基板が毎回EMI測定試験でNGになってしまい検図と修正に苦労しています。問題の起きた基板データを持ってきたので、ちょっと見てもらえますか。自分がしっかり指導できれば良いのですが、マネージメントの仕事もこなしつつだとなかなか手がまわりません。でも、問題となる基板は増える一方で…どうすれば良いでしょうか。
 

こんにちは、アキオミさん。基板データを拝見させていただきますね。
最近の基板はデジタル回路が多くなって、若手の方はベテランと比べアナログ的な対処経験が少ないですよね。一方で、ベテラン設計者も定年退職などで減ってきていますから技術伝承されないというお悩みは他でも良く相談を受けます。
あら?ここ、BGAからの引き出したクロック配線がループしていますよ。他にも、ここも、ほらそこも…。
 
BGAからの引き出したクロック配線がループ

みなさん!どこが問題箇所か分かりますか?


 
あっ!本当だ。これは修正モレです。彼に確認して直しておくように言っておいたのに…。でも、どうして、こんな短時間で見抜けたのですか?
 
 

 
ふふふ。それは…、CR-8000 EMC Adviser EXを使って基板をEMC検証したからです。このツールはルールベースデザイン・ツールで、定義された設計ルールを守られた設計が行われているかを簡単に見つけられるツールです。
これですぐに問題箇所が分かりました。画面でお見せしますね。
 

オープンループチェック結果

オープンループチェック結果



 
これは!くっきりはっきりループしていることが分かりますね。
このツール便利ですね。準備設定は難しいですか?ウチの基板設計者にも使えるかな。
 

 
設定はネット名を CLK* などのように入力するだけなので誰でも簡単に使えますよ。チェックをかけると、基板全体との相対評価が行われ、準拠度(合格/注意/警告)が表示されます。
さらに駆動周波数を入れるとより細かくチェックできます。
 
 
ネット名を入れるだけで解析実行

さらに駆動周波数を入れるとより細かくチェックできます。

CZ_103_momo_kinou04
 
駆動周波数を入れるとより細かくチェック
EMCチェック結果表示
 
これなら、簡単に使えそうです。DRCみたいに設計中にその場で確認できるので、修正しながら基板設計を進めることができますね。
でも、このチェック結果を見ると、大きいループや小さいループ、高速な線路から低速な線路までありますが、どこをどれだけ直したら良いのでしょうか?
大きいループだけ直せば良いんですかね?
 

いい勘していますね。ループ面積や、ループに流れる電流が大きいと発生する電界Eは大きくなりますから、まずはループ面積が大きいところから対処しましょう。限られた設計期間の中で「修正できる箇所をやれるだけやりきる。」という気持ちがEMCの結果になって現れますよ。
また、さきほどのツールで、アドバイス画面を表示させると対処方法も確認できるので、経験の浅い設計者でも正しいEMC設計ができます。html形式なので社内ノウハウや実測結果を蓄積することもできますよ。
社内ノウハウや実測結果を蓄積

 
これは便利!もっといろいろEMCのツールについて知りたいな。
 
 

 
このEMC Adviser EX にはEMC設計に関する基本的なルールが最初から用意されているので、導入してすぐにルールベースデザインが行えます。また、解析や実測から得られた結果を元に新たな設計ルールを作成すれば、一度発生した課題は設計段階で解決できるようにもなりますよ。なにより、今見せたようにルールと検証結果を確認しながら設計できるので、若手設計者のEMC設計のレベルアップも期待できます。
 
 
来月幕張メッセで開催される「テクノフロンティア2016」の図研ブースに来てください。展示担当員としてEMCのエキスパート、NARTEエンジニアもいますので、さらに詳しく話を聞けますよ。
もちろん、先ほどお見せしたCR-8000 EMC Adviser EXやルールベースデザインだけでなく、設計品質を向上させるためのヒントがたくさん見つかると思います。
Techno Frontier
 
テクノフロンティア2016の詳細はコチラ

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