case20:意外と多い手戻り発生原因! ケーブル設計のミスは回路設計情報の活用で解決
2017年01月25日今回の相談者は分析装置メーカーで開発リーダーをしているコウイチさん(40)。
回路や基板設計はCADによって効率化されたのですが、まだ手戻りが発生して出図がギリギリになってしまうことがあるようです。その意外な原因とは?
【case20】
開発リーダーとして分析装置の開発を行っています。回路設計や基板設計はCADを導入し設計の効率化をすすめているのですが、ケーブル設計でミスが頻発しています。これを何とかする方法はないでしょうか?
(開発リーダー コウイチさん)
こんにちは。コウイチさんお久しぶりです。昨年納品したDesign Gateway(※1)どんな感じですか?
あ、桃子先生!ちょうどいいところに。Design Gatewayを導入してから、回路設計はいい感じです。回路設計には、今のところ特に問題はないんだけど…。後工程では、まだ手戻りが発生するんですよね…。
あらら。後工程って、まさか基板設計??
うーん、そうじゃなくって。ケーブル設計の方なんだ。
製品の内部には基板だけじゃなくて、センサーやモーターといったメカトロ部品が多数あるだろ?それらを繋ぐケーブル図の作成に手間取ってしまって。
この前もケーブルの芯線が逆接続になっていて、試作機が全く動かなくって困ったよ。そこまで誰も気づかなかったのも問題だし。これが量産まで発覚しなかったらと考えると怖ろしいよ。
なるほど、ケーブル設計の問題ですか。
そうですね、最近、医療機器や産業機器でも基板とさまざまなメカトロ部品で構成されていることが多いので、そういう問題もちょくちょく聞きます。私は専門ではないのですが、どんな感じで製図しているんですか?まさか手描きで製図しているわけではないでしょうし…。
もちろん手描きではないよ。自分はメカCADで設計しているけど、人によってはMicrosoft Office Visioで設計しているとかも聞くな。いずれにせよ作図ツールを使用していてCADのデータは活用できず、0から図面を起こしている感じだよ。
だから、総合結線図(※2)を作成する際に基板情報の転記ミスが発生したり、そこからケーブル図を作成する際にミスが発生したりして…。ケーブル設計にはメカ設計と電気設計の両方の情報が必要だから、どちらかに設計変更があれば必ず影響がでて、どうしても製品開発の後工程にまで修正が入ってしまうんだよね。ここだけの話、いつも時間に追われて、検図が十分できないこともあるんですよ。
それは…大変ですね。
実は、図研にはケーブルを設計するツール「E3.series」という製品があるんですよ。最近同じような相談を受けることが増えていて、今日もその部門のSEさんと一緒に別の会社に行ってきたところです。ちょうどいいから、「E3.series」のSE鈴木先生に説明してもらいましょう。
はじめまして、鈴木です。
ケーブル設計の話ですね。ちょっとお聞きしたところCADを利用されているようですが、確かに作図用のCADですと回路設計結果から得られるデータが活用できないので、その後の設計もケーブルに特化した機能などがないから大変でしょう。では、「E3.series」を活用したフローを簡単に説明しますね。
うーん。たしかに総合結線図に必要な情報が揃うし、設計品質が上がるかもしれないけれど、今やっていない作業もあるので、工数が増えるよね?
皆さんそうおっしゃいます。が、作業のフロントローディングで総合結線図の品質が上がると結果的には工数が減るんです。総合結線図が正確に表現されることで、ケーブル図の品質が上がるだけでなく、作成にかかる工数が劇的に短縮されます。具体的に動きを見てもらった方が早いので、こちらの動画をご覧ください。
これはすごいですね!上流(総合結線図)できちんと情報を入れると、後工程がこんなに楽になるのか。うちの製品ではケーブル図が多いものだと数十枚もあるので、2週間くらいかかることもあるけど、これなら2~3日でできそうですね。しかも、これなら転記作業もないから、逆接続なんか起こらないし!
良かったですね、コウイチさん。
鈴木さん、この製品のことを詳しく知りたかったらどうすればいいですか?
図研のHPに詳細が載っているので、そちらをご覧ください。カタログもダウンロードできます。きちんとした総合結線図を描かれていない企業はまだまだ多いようです。なので、そこに課題を抱えている方もたくさんいると思いますよ。また何か困ったことがあればいつでも声をかけてくださいね。
E3.seriesの情報はコチラ
ありがとうございます。みんな困っているんですね!
ケーブルに関しては実は引き回し検討も、手間がかかっていて課題だと思っているんですよ。メカ側からいろいろデータもらって検討はしているのですが、あまり上手くいかなくて。結局、既存製品で検討したりモックアップを作って検討したりしているんです。
引き回し検討でお困りの設計者さんもとても多いですよ。モックアップなど実物を使わなくてもラクにできる方法もあります。ですが…、すみません。これから予定があるので、その解決法は後日でお願いします。
今日はAlliant Techsystems Inc.(ATK社)の事例資料を差し上げるので、ぜひ読んでみてくださいね。このお客様は引き回し検討を3D CADでおこなっていますが、図研ではまた別の解決方法を準備中です。
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E3.seriesに関するお問い合わせはコチラ
Mail:e3team@zuken.co.jp
Tel:045-942-2146
(※1)Design Gateway:図研の回路設計ツール
(※2)総合結線図:「ブロック図」、「全体回路図」、「基板間接続図」、「機能ブロック図」と呼ぶ会社もある。
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