case18:回路設計しながらデキル!SPICEのアナログ解析

今回の相談者は、産業機械メーカーに勤める回路設計者のミカ(28)さん。

製品の仕様変更の度に発生する回路検証でLTspice解析の活用を試みているのですが、うまくいかなくてお困りのようです。


【case18】

インバータの電源回路設計を行っています。機能安全規格に準拠するために回路が多重化・冗長化されたりと、製品の回路設計もどんどん複雑化しています。いつも実験室にこもって回路ブロックを実測検証しているのですが、いつまでも同じやり方では対応できないと思い、LTspice(※1)で検証し始めたのですが、回路図転記の単純なミスが連発して困っています。これではせっかく導入したのに効果が出せません。何かよい方法はないでしょうか。

(回路設計者 ミカさん)

※1  LTspice: リニアテクノロジー社が提供するフリーのSpice 電子回路シミュレーター。

 

 

 

こんにちは、ミカちゃん。久しぶりの女子会なのに浮かない顔でどうしたの?

私も参加するから一緒に行きましょう。

 

 

はい、ぜひ! それより桃子先生、歩きながらでいいのでちょっと話を聞いてください。今、開発している製品のメイン基板の試作があがってきて実機検証しているんですが、耐久性能が思うように出せず、設計をやり直しすることになってしまったんです。LTspiceでアナログ解析までかけて、その結果を基に社内レビューまで通っていたのに。

原因を調べたら、部品の選定ミスだったんです。検証回路を転記した時にミスしたみたいで…。

 

 

転記ミス?

解析でOKが出たのに、基板回路図を描き起こす時にミスしたってこと?

 

 

そうです。

それに気付かずに試作基板まで作ってしまったなんて泣きたくなります。

 

 

それは確かに落ち込むわね。せっかく解析して性能要件を満たしていたのに。

でも、最近そういう話をよく聞きますよ。医療機器なども、機能が複雑になるだけでなく、同じように機能安全規格準拠も重要で、アナログ回路検証の必要性が高まっているけど、回路解析と回路設計のツールがうまく連携していないと、ミカさんと同じようなミスは起こるのよね。

 

 

解析をかけても基板回路図に描き直すのって結構手間で、

ミスも起こりやすいから、みんな苦労しているんですよね。

 

 

 

ミカさんにはまだ紹介できてなかったんだけど…。
Design Gateway 2016でLTspiceと連携したのよ。
なので、Design Gatewayで回路図を描けば転記作業はいらなくなります。

 

 

え、本当に!

具体的にその連携でどんなことができるのか教えて欲しいです。

 

 

 

ミカさんの会社では、まず仕様書をもとに検証が必要な回路をLTspice用に書き起こして解析を行っているのよね?でもDesign Gateway 2016なら、回路図から部分的に必要なパラメータを直接抽出して、そのままLTspiceの解析にかけられるし、解析した結果の電圧値や電流値をDesign Gatewayに返すこともできます。

 

CZ107_momo_ph01d

回路図から部分的に必要なパラメータを直接抽出して、そのままLTspiceの解析にかけられるし、解析した結果の電圧値や電流値をDesign Gatewayに返すこともできる

 

えっ、そんな便利になっているんですか!

それなら、LTspiceの知識が無い人でもアナログ解析できちゃうってこと?

 

 

 

えぇ、そうですね(笑)

LTspiceの操作を知らなくてもできると思います。今までLTspiceのことを一番よく知っているミカさんにアナログ解析業務が集中していたみたいですが、これならちょっとラクになるかもしれませんね。

 


 Design Gatewayから、LTspiceを使ったアナログ解析が行え、解析結果の電圧値などを回路属性として回路図に反映できます。また、解析結果をエビデンスとして回路図に貼りつけることもできます。

Design Gatewayから、LTspiceを使ったアナログ解析が行える 解析結果の電圧値などを回路属性として回路図に反映できる 解析結果をエビデンスとして回路図に貼りつけることもできる


 

さらに、この機会にご紹介しちゃいますと…

LTspiceで解析した結果とCircuit Adviserを組み合わせれば、コンデンサの極性チェックや定格電圧チェックなどもできますよ。

 

 


Circuit Adviser(サーキットアドバイザ)

回路図上の部品やネットに設定した属性情報を元に、電気的特性を考慮したルールベースのチェックツールです。SPICEの解析結果から得たネットの電圧値から、部品の定数・定格を加味した信頼性チェック、逆接続や結線間違いなど、不注意によるケアレスミスを検出することができます。

回路段階での電気ルールチェック


 

 

じゃぁ、LTspice連携とCircuit Adviserを組み合わせれば、もっと便利になるってことじゃないですか! Circuit Adviserについては知ってたつもりだけど、その必要性が分からなかったわ。でも今回の件だけでなく、目視でミスを見つけるのって本当に難しくって、それをルールベースでチェックしてくれるならすごく便利、上司に提案してみようかな。

 

 

 

ふふっ。あともうひとつ紹介したい機能がありますよ。こちらのツールも一緒にあると、もっと設計の負荷を軽減できますよ。

 

 


■ ディレーティング検証

Design Gatewayの回路図から必要な部品属性(リファレンス・定数・定格電圧など)を読み込み、SPICEで自動計算されたネットの電圧値と合わせたディレーティング検証表(Excelフォーマット)を1クリックで生成できます。

SPICEで自動計算されたネットの電圧値と合わせたディレーティング検証表(Excelフォーマット)を1クリックで生成できる


 

 

なんか、今までの開発環境は何だったのか!ってくらい便利そうですね。

フル活用すると、かなり工数削減できそうだし、設計品質も上がりそうですよね。提案するためにも、もっと詳しく知りたいけど…。

 

 

それなら、8月にちょうどDesign GatewayとLTspice連携を取り上げたエクスペリエンスがありますよ。Circuit Adviserやディレーティング検証表出力についても実際に触ってみることができるので、ぜひお越しください。

 

 

ぜひ。
さっそく明日会社で予定を確認してみます。

 

参加申込みフォーム

「CR-8000 Design Gatewayエクスペリエンス」では、今後も様々なテーマで開催しますので、ご期待ください。

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