未来のモノづくりを担う若者たちの祭典「学生フォーミュラ日本大会 2019」に参加!
2019年09月26日
8月末に静岡県で開催された「学生フォーミュラ日本大会 2019」に、図研は企業スポンサーとして初めて参加しました。本イベントは公益社団法人自動車技術会が主催するもので、1980年代にアメリカで始まり今では世界各国で開催されている「学生による、フォーミュラスタイル(=車輪およびドライバーが剥き出しの状態)の規格に沿ったレーシングカーの設計・製作を競う大会」の日本版です。既に今回で17回目を数え、日本の自動車業界での注目度もすっかり高くなりました(今大会のスポンサー一覧はこちら)。
会場は第4回以降、掛川市と袋井市にまたがるエコパ(小笠山総合運動公園、今年のラグビーワールドカップの一部試合も実施)となっており、今回89の学生チームと、16,000名以上の来場者が集まりました。
実は図研は、これまでも欧州を中心に、学生フォーミュラに参加するチームを積極的に応援してきました(図1)。そして今回、未来のモビリティ、未来のモノづくりを担う若い世代を、本社のある日本の大会においてZuken Japanのメンバーで応援することが決まりました。
学生フォーミュラ自体については、公式サイトや各種メディア、参加者によるSNS投稿などで非常に多くの情報が出ているのでここでは割愛しますが、なぜ我々がこのイベントを通じて学生たちを支援しているかについて触れておきましょう。
図研は、世界の自動車先進国のお客様にそのソリューションを提供してきており、そうしたお客様との取り組みの中で少しずつ発展してきた同じソリューションを各国の学生チームにも提供しています。つまり学生たちは、先進的な企業が試行錯誤して到達した最先端の技術をも活用して、自分たちのプロジェクトを進めることができるのです。一方、学生たちは、過去にとらわれない発想で、自分たちのクルマづくりに挑戦します。先進技術と斬新な発想との接点である学生フォーミュラは、学生を支援する図研のような企業にとっても貴重な体験となるのです。
さて、では会期中に学生たちがさまざまな審査種目(車検・静的審査・動的審査での14項目)で懸命に競い合う中、スポンサー企業群、そして図研がどんな活動をしていたかをご紹介しましょう。
全5日間の大会日程のうち後半の3日間、規定額以上での協賛をしている企業は、学生たちの拠点となるチームピットエリアと、各種審査が行われるエリアとの間にある「企業PR展示エリア」に設置されたテント内で、各社のPRをすることができます。1社あたり約10㎡弱、一般的な展示会での1小間とほぼ同じ面積になるのですが、支給される長テーブル2本を配置してしまうと、自由に使えるスペースは予想以上に狭く(図2)。そんな環境の中、審査の合間に訪れてくれるであろう学生たちをフックするために我々が用意したコンテンツはただ一つ。昨年Zuken Innovation World 2018 のホワイエセッションでも来場者に体験していただいた、Harness Analyzer VR(以降、HAVR)の実機デモです。体験者にはまず、ヘッドマウントディスプレイ(以降、HMD)を装着してもらいます。その状態でHAVR内の空間を見ると、そこに3DCGで表現されたワイヤハーネスが表示されます。さらにHMDと連動しているコントローラを右手に持ってもらい、準備完了です。
右:経路内の全ワイヤとケーブルの断面イメージ
体験者はテント内を自由に(とはいっても狭いのですが)動き、対象オブジェクトを捉えやすい位置に移動します。そうしたらコントローラで任意の経路(図4左側の、水色で示された太い管形状)を狙い、トリガーを人差し指で引きます。するとその経路が選択状態となり、各種情報が空中に表示されます。また同じく任意の経路を捉え、今度は中指の腹でグリップボタンを押すと、図4右側のようにその中を通っているすべてのワイヤとケーブルが断面イメージで表示されます。
次はコネクタ(図4左側の、緑色で示された箱)に対し同様の動作を行ってみます。任意のコネクタを捉え、トリガーを人差し指で引くと、やはりそのコネクタに関する各種情報が空中に表示されます。次にコネクタをグリップボタンで捉えると、そのコネクタと他のコネクタとの論理的な繋がりがイメージで表示されます(図5)。
実際にこれらの操作を自身で行い、その結果をVRで確認した体験者からは、一様に驚きの声が挙がっていました。
HAVRは現時点ではまだ開発途上の製品であり、今後お客様などからの「こういう機能が加わると、実際の開発現場でさらに有用なツールになりそうだ」「ここの場面での挙動はもっとこうした方がいいのでは」といったご意見を精査・反映しながら、最終完成度を上げています。
3日間で実に30校以上の学生たちがこのVRデモを体験し、我々に期待の声を寄せてくれました。また、特にアジア圏を中心に各国からチームが訪れていることは事前に知っていたものの、実際の接客の半分程度が日本以外の学生を対象とするものとなったことは驚きでした。次回は英語の資料を十分に用意するのと、英語でのデモ説明をもっと流暢にできるように準備しておかないといけないと感じました。
「あの時学生フォーミュラで…」という学生さんが当社に入ってきたり、完成したHAVRを実際の自動車開発で使ってくれたり、といったことが実現すれば嬉しい限りです。