第二回 「で、誰がレビューするの?」「…」 ※前編
2017年06月21日大事だとわかっちゃいるけど、うんざりするほどの回路チェックはもう限界!
せっかく回路を仕上げたのに、チェックで時間を取られてばかりで効率が悪いと思ったことありませんか?
前回の第一話で、回路特性を理解することで、流用設計がより効率的だと実感している様子の新田さん。
最近の悩みはデザインレビュー(DR)のようですよ。数百個もあるチェック項目を、ひとつひとつ確認していく作業に嫌気がしているみたい。ほら、今日も・・・
チェック対象は一体いくつあるの? この回路チェックいつ終わるの・・・(T_T)
新田:上島さん、製品Aの回路図できました!
上島(上司):おお。お疲れ様。じゃ、明後日のデザインレビュー会議の前までに、このリストで設計内容を確認しといて!
新田:は、はい。(えー!僕がレビューするの!?)
~~~~~~その日の夜22時~~~~~~~
新田:あぁーもう! 終わらない終わらない ぜーんぜんぜんぜん終わらない!!
古川:新田、どうしたんだ。顔がげっそりしてるぞ
新田:あ、古川さん・・・。新製品の回路設計を終えたんですけど、上島さんから貰った回路チェック項目が多いし、チェック箇所を探すのも大変で全然終わらないんです。設計スケジュールだと、来週には出図して基板設計に渡さなきゃいけないし。また残業ですよ・・・
古川:そうか、回路図チェックで苦労しているのか。(お、あれを新田に試させよう)回路設計のチェックが効率的になったらいいと思わないか?
新田:もちろんですよ・・・涙
古川:よし。俺が準備していたものがあるんだ。ちょっとこれを見てくれ。
古川さんは何やら企み顔。「準備していたもの」とは一体何でしょうか?
新田さんは回路設計のチェック項目の多さと複雑さに嫌気がさしていますね。設計プロセスの中でもデザインレビューは大事な関所で、レビューを受ける前には、チェックリストのチェック結果が設計のエビデンスになることは理解しているものの、チェック項目をひたすら追っていくだけになっていると非効率で品質も落ちてしまいます。
ここがチェック箇所だよ!効率化の秘訣はノウハウデータベース
古川:これだよ。これはCircuit DR Naviといって回路図チェックリストの項目をデータベース化して、チェック対象の回路図のチェックポイントをリストアップするだけでなく、そのチェック項目の該当箇所を指示してくれるツールなんだ。これが回路図のチェックに活用できることがわかれば、設計部門で正式導入だ。
新田:へ~。これであの回路チェックが効率化できるんですかね。(半信半疑の目・・・)
古川:新田、お前の回路図で試してみないか?
新田:わかりました。やってみます。(ほんとにうまくいくのかな~)
~~~~次の日~~~~~
古川:新田、どんな感じだ?
新田:レビューチェック機能、いいですね。
チェック項目をクリックすると、そのチェックが必要な箇所がリストアップされるし、結果をマークすればどこで何のチェックが終わったのかがわかります。そのままデザインレビューのエビデンスとしても活用できそうです。
Circuit DR Naviでは、社内に埋もれていたり、個人依存になっていた設計チェック項目をまとめ、回路設計CADと連動することで、回路図上でチェックが必要な箇所を示してくれます。
回路検証を見直せば、設計ミスの防止&設計の効率化も近い!
Circuit DR Naviを使うようになってから、見違えるように回路レビューが効率的になっているようです。新田さんもウキウキ顔ですね。数百あった項目でも、抜け漏れなく確実にチェックができるようになりました。
上島(上司):新田君、この前の回路チェックの結果はどうだった?
新田:はい。これがチェック結果のリストで、問題ありません。予定通りデザインレビュー会議を迎えられると思います。
上島(上司):すごいな。チェック結果が今までより整理されているし、思ったより早く終わったじゃないか。
古川さんがフラっとやってきて・・・
古川:実は、設計環境の効率化プロジェクトで導入検討していたツールの準備が終わったので、新田君に試してもらったんですよ。これで、デザインレビュー会を終えて出図までいければ、回路検証ツールとして導入できそうです。
新田:今回試したツールは、効率的でしかも正確ですよ、すぐにでも設計部門に展開してもらいましょうよ!
上島(上司):ははは。そうか、そんなによかったか!
古川:(気が早いな~。設計検証ってのは回路検証だけじゃないんだけどな・・・)
新田君、今回はありがとう。出図して基板設計が上がってきたらまた何か協力してもらうかもな!
新田:・・・??
回路設計チャレンジ!
今回は、設計レビューにちなんだ問題をご用意しました。
みなさんもチャレンジしてみてね!
【問題】
回路設計のレビュー項目に、「IC電源ピンの近くにパスコンを配置しているか?」といった項目があります。
以下の回路で、チェックが必要なパスコンはいくつあるでしょうか?
おおきく見たい人はこちら(PDF)
では、一般的な規模の回路でチェックするべきパスコンがどのくらいあるか動画で見てみましょう!
おまけのもう一問★
回路設計のレビュー項目に、「IC電源ピンの近くにパスコンを配置しているか?」といった項目がある。この背景として、明らかに間違えているものは、次のうちどれ?
1.パスコンがIC電源ピンの近くにないと、電源の供給線の引き回しを短くするか、非常に太くしないとICの消費電流の変動に対応できなくなるから
2.ICが大電流を必要とした瞬間の電圧降下を防ぎ電源電圧を一定に保つには、蓄えた電荷を放電するパスコンが物理的にIC電源ピンの近くにある必要があるから
3.高周波回路やデジタル回路のICのパスコンにアルミ電解コンデンサを使っているかを、IC電源ピンの近くに置くことで分かり易くするため
4.基板設計者が回路図面を見て、配置方法が分かるように回路図を描いておくことで、あらためてパスコンの配置指示書を作る手間が省けるから
わかったかな?
答えは、来月★