【ZIW2018】CR-8000 DFM Center ロードマップ

 
CR-8000 DFM Center をはじめとするCAM製品の最新機能とロードマップについて、ご紹介します。
 

DFM Centerの位置づけと特徴

DFM Centerは、CR-8000シリーズにおける構想設計から回路設計、基板設計の工程に続く製造設計/DFM検証環境のCAMとして位置付けられています。図研では、DFM Center 以外にも、DFM Elements 、DFM Center /ADM の3つのCAM製品を提供しています。


● DFM Elements
Design Force のサブセットで、実装パネル設計や製造データ出力が主な用途です。
● DFM Center/ADM
DFM検証のチェッカーであり、DFM Center や Design Force、Board Designer のCADとも
連携します。
● DFM Center
基板製造準備、部品実装準備、DFM検証を含むトータルソリューションのCAM環境です。

 

基板製造向けCAMとして様々なツールがあるなか、DFM Center は、部品を扱う唯一のCAMであり、CADベンダーが独自開発したCAMになります。
基板設計部門における実装パネル設計やCAMデータ出力、DFM検証、基盤製造部門、部品実装部門の課題・ニーズを幅広くカバーし、トータルソリューションを目指して開発を進めています。

 
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今後の開発の方向性

近年のIoT、スマートファクトリー、生産拠点フリー、FABレスの市場動向を背景に、情報の集約、活用、伝達の要求が高まっています。同様に各装置メーカーからDFM Center に対して、上流にあるCADが持つ情報を集約し、それを元に情報を活用し、さらなる下流へと伝達したいという要求があがっており、かつ上流のCADには依存しないということも重要な要件になっています。図研はこのような新たなCAMニーズに真摯に向き合い開発を進めています。

 
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●部品実装部門&基板製造部門の現状

部品実装部門では、上流から流れてくる情報の多くは分散しており、かつ紙の資料が中心のため、電子的に集約することが困難というのが実情です。また各実装関連装置で行う部品情報の登録など、類似する作業を重複して行っており、情報を活用する余地はまだあると言えます。また情報の伝達も紙の図面、指示書に頼っているのが実態です。
基板製造部門では、基板製造における受入れ部門、製造設計部門、CAM部門の3部門ともにODB++の受入れを始めていますが、3部門間での情報の集約までには至っていないようです。またODB++からネット情報や属性情報を取り込めば情報として活用できることが分かっているものの、実際にはお客様次第というところもあり、なかなか製造部門全体で活用させるまでには至っていません。近年ODB++は多くの装置メーカーが対応し、メーカー間で情報の伝達を試みていますが、対応するODB++のバージョンやそれぞれの理解度が課題になりつつあります。
これらの現状を踏まえ、基板設計データが十分活用できる環境を提供することを目指し、ソリューション別に次のような開発の方向性を考えています。

 
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① 部品実装準備ソリューション:開発の方向性

部品実装ソリューションでは、実装関連装置との連携を図るべく、CKD様、オムロン様、PFA様と連携を進めています。今後は、このような輪を広げ、図研の強みでもある基板設計CADとCAM間の橋渡し役を担っていきたいと考えています。
また、実装系のPDMソリューションDigital Shop Floor と連携し、部品実装準備の統合CAMを目指したいと考えています。

 
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② 基板製造準備ソリューション:開発の方向性

基板製造準備ソリューションでは、基板製造における受入れ部門、製造設計部門、CAM部門のエンジニアリング部門間で類似する作業が実施されていることから、部門間で共通して使用できるCAM統合ソリューションを提供したいと考えています。
将来的には、基板製造向けのPDMソリューションとの連携も検討しており、エンジニアリング部門以外のERPなどとデータ連携し、関連情報のフル活用を模索しています。

 
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③ DFM検証ソリューション:開発の方向性

DFM検証ソリューションでは、セットメーカー、基板製造メーカー、実装メーカーおよび実装をベースとしたEMSメーカーに対して、DFM検証という側面からサプライチェーン間の連携を目指しています。DFM Center 環境による支援やコンサルティング活動などを通じて、共通のルール化や結果の共有などを実現していきたいと考えています。
将来的なテーマとしては、例えばCADのDRC実行時の擬似エラーをAI技術で減らしていくような取り組みを検討しています。チェック結果は、確認したらそこで終わりになりますが、結果を蓄積し、蓄積された情報を分析することで、ルールに対するフィードバックが行えるのではないかと考えています。

 
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DFM Center & ADM 機能紹介と次期リリース

DFM Center & ADM の機能および次期リリースについて、部品実装準備ソリューション、基板製造準備ソリューション、DFM検証ソリューション別にご紹介します。

 

① 部品実装準備ソリューション

<機能について>
DFM Centerは、部品情報、ネット情報、各種属性情報を保持し、基板設計データの情報を有効に活用することによって、実装準備期間を大幅に短縮することができます。
図研CADの他、ODB++、Gerberなどの設計完了データを取り込み、メタルマスクやマウンタ用の治具形状の編集、実装用NCや各種マシンプログラム用データ出力をワンストップで行うことができます。

 
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<次期リリースについて>
DFM Center 2019.0 の部品実装準備ソリューションでは、メタルマスク開口設計の機能拡張を行い、メタルマスクとホールのクリアランスを表示したり、指定層の総開口数表示が行えるようにします。
またCKD様向けのSPI条件ファイル出力、オムロン様向けのAOI/AXI条件ファイル出力に対応するほか、ICT設計機能の拡張や部品登録、関連編集機能などの拡張を予定しています。

 
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CKD様のデータステーションでの作業では、現状Gerberデータとマウントデータを元に行う新規部品の登録作業が必要となりますが、DFM Center2019.0 ではCKD様用のSPI条件ファイルを出力することで、データステーション側の新規部品の登録作業が不要となります。基板設計時の部品形状名やリファレンスも引き継がれるため、検査結果の確認もスムーズに行えます。

AOI/AXI条件ファイル出力機能としては、DFM Center または DFM Viewer Advance から部品ボディ、ピン形状、部品属性をオムロン様のVTシリーズに渡せるようにします。これにより部品登録作業を簡易化することができます。

 
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ICT設計機能拡張としては、テストポイントの発生面の指定、追加発生の制御、仮想レジスト層の指定、端子別テストポイント情報レポート、ICT検査プログラムの出力などの機能を予定しています。

 

② 基板製造準備ソリューション

<機能について>
製造設計部門向けに、お客様からの支給データの取り込み、製造パネル検討、構造/工程検討、製造図面作成、製造性検証の機能を提供し、CAM編集部門向けには各種CAM編集機能、製造データ補正、製造パネル作成、製造装置データ出力の機能を提供しています。
製造ノウハウを多く必要とするFPC製造における製造設計部門とCAM編集部門とのデータ連携により、リードタイムを大幅に短縮することを主眼に開発を進めています。

 
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<次期リリースについて>
DFM Center2019.0 における基板製造準備ソリューションでは、部品内データのフィルタ、領域データの高さ/面積フィルタの追加によるサーチパラメータの拡張、対話エディタからのバッチ実行コマンド対応ネスティングパネル編集機能の拡張を予定しています。また、入出力機能強化として、DXFの最新バージョンへの対応、ODB++ Ver.8.1 での入出力対応を予定しています。

 
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③ DFM検証ソリューション

<機能について>
DFM検証ツールである DFM Center/ADM は、製造データを使用して、基板設計・基板製造・部品実装のDFM検証ができ、事前にそれぞれの問題を検出することができます。検証ルールや検証結果を共有することで、各工程間で紙により行われているコミュニケーションを効率化することができます。
1,000以上の製造性・実装性の検証ルールをブラウザ上の図解入りGUIで容易に設定でき、ルールはWebブラウザで閲覧することも、チェックはサーバー上あるいは複数端末に分散することも可能です。検証結果はDFM Viewer Advance やBoard Designer でも共有することができ、2020年のリリースでは、Design Force への共有も対応予定です。

 
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<DFM Center版ADM 次期リリースについて>
次期リリースでは、チェック機能の強化に加えてチェック結果確認機能を強化します。
チェック機能強化としては、特定ネット間クリアランスや差動配線のチェック機能を追加します。差動配線チェックはノイズ発生を抑制することを目的として、差動ペアのビアが一定間隔で置かれているか、差動ペアのペアピッチは適切か、他のビアが置かれていないか、近傍にグラウンドビアが指定数存在するかなど、従来の製造要件に加え、基板設計要件チェックの強化も図ります。DFM CenterはマルチCAD対応のツールで、他社CADで設計したデータもODB++などで取り込むことができるので、基板設計要件チェックの拡張も進めています。
その他チェック機能の強化としては、端子接続チェック機能改善や任意チェックにおいての擬似エラー削減などを行います。

 
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チェック結果の確認機能の強化として、結果のグラフ表示機能を追加する予定です。エラー値のグラフ表示機能を追加し、選択したグラフに該当するエラーのみを確認できるようにすることで、真のエラーを効率よく特定することができるようになります。

 

<DFM Design Force/Board Designer版ADM 次期リリースについて>
次期リリースでは、主にチェック機能を強化します。
面積の合算値が基準を満たしているかをチェックできる機能を追加します。また形状合成モードの対象を拡張し、クリアランスでの同ネット/異ネットを有効にして擬似エラーを減らし、表示層モードにエラーとなった層のみを表示できるようにします。

 
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DFM Center & ADM リリース計画

DFM Center は年1回のリリースを予定しており、次期リリースは、2019年2月を予定しています。
Design Force/Board Designer 版のDFM Center ADM の次期リリースは、Design Force 、Board Designerバージョンアップに合わせて、Design Force 2019/ Board Designer Rev.21 対応版は、2019年3月を予定しています。

 
 

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