サステナブル・エレクトロニクス コミュニティに参加しませんか?

今回は、2023年12月に開催されたSEMICON JapanのFLEX※1 Japanカンファレンスから始まった”サステナブル・エレクトロニクス”をテーマとしたコミュニティ活動についてご紹介します。縁あって、Club-Z編集局もこちらのコミュニティに活動に何度か参加しています。

SEMIジャパンでは、今年より日本航空電子工業株式会社 理事 中島 伸一郎氏が委員長、エレファンテック株式会社 取締役副社長 杉本 雅明氏が副委員長を務めるFLEX Japan 推進委員会にて、その対象となっているプリンテッドエレクトロニクス、フレキシブルデバイス業界の発展を考慮した際の、今後のテーマ設定について検討していました。
FLEX Japanは、元々「曲がるデバイス」「伸びるデバイス」にカテゴリーを絞って運営されていました。しかし、このカテゴリーだけではコミュニティがなかなか広がっていかない、「曲がる・伸びる」だとお客様の関心事も散漫になり減っていってしまうのではないか、という内容が委員会で協議されていました。そこで、2023年12月に開催されたFLEX Japanでは、テーマを「サステナビリティがつくるビジネス新時代」として、より「サステナブル」なカテゴリーへと変化させました。ここから、”サステナブル・エレクトロニクス”をテーマとしたコミュニティへと発展したのです。

本コミュニティの目的は、大きく2つあります。直近の目的としては今年の12月に開催されるFLEX Japanへの合意を形成することです。SEMICON開催中(年に1回)のカンファレンスと懇親パーティーでの意見交換は長期トレンドに話が偏りがちのため、開催半年前の6月をめどにコミュニティの各メンバーが「半年後に何をやらないといけないか」が分かるように、もう少し小まめに集まり、今後の活動についてある程度のステップをつけて議論を進め、意識や目線をアライメントしておきたい、という喫緊の目的があります。
次に長期的な目的として、このFLEX Japanから始まったコミュニティを「サステナブル」を切り口に、これからの日本のエレクトロニクス製品について考えるコミュニティへと発展させていきたいという点があります。完成品を製造しているメーカーだけでなく、そのサプライチェーンを構成する素材、装置、ツールベンダーなど。職種も、研究開発、営業、デザイナー、マーケティングと、さまざまな立場の人々が集まり、気軽に意見交換ができる場を目指しています。

エレファンテック社の杉本氏は3月12日の集会の場で「コミュニティを良くしていくためには、製造や研究開発など、いろんな現場の話をよく聞かないといけないと思っています。複数の人に状況を聞いて、様子を見ていかないと企業のサステナブルに対する意識や取り組み状況などは分からないので、このようなコミュニティ活動をしています。集まる以上は次の時代を知りたいし、作る側に回りたい。そして、あわよくばビジネスに結び付くといいなというモチベーションが参加者にあるという前提のもと、このような集会を企画しています」と発言されていました。

月に1回を目標に開催されている集会では、杉本氏が海外の展示会やカンファレンスについて、実際に現地を訪れ見聞した内容を、自身が感じたことも含めて端的で興味深い内容にまとめ、報告されています。これまで参加した他の展示会での見聞を例にあげながらご自身の知見を説明されるので、海外のサステナビリティに関する動向をいち早くキャッチアップしたい方や、日本ではあまり知られていないが海外では導入が進んでいる技術や規制動向などを知りたい方にとって、貴重な時間になるはずです。Club-Z編集局もマーケティング部門の所属として、毎回楽しく拝聴しています。報告会の後にはQ&Aの時間が設けられ、そこから発展しての意見交換なども行われます。
※海外展示会の報告内容は、コミュニティ参加特典とのことですので、詳細は差し控えます。

今年に入り、コミュニティ活動は既に3回開催されていますが、毎度会場の時間切れとなるくらいに話が弾み、惜しまれつつも閉会という流れとなっています。

 
さまざまな企業、職種の方との出会いがあります

さまざまな企業、職種の方との出会いがあります

 

・2/15(木)17:30~19:00 @FabCafe(渋谷)
  2024年1月9日~ 12日にラスベガスで開催されたCES 2024 のフィードバック会
・3/12(火)13:00~14:00 @SEMIジャパン(市ヶ谷)
  2024年3月5日~7日ドイツのミュンヘンで開催されたLOPEC※2フィードバック会
・4/3(水)16:30~19:00 @FabCafe(渋谷)
  1. 2024年3月25~27日パリで開催された環境問題と海洋保護について話し合うフランスのイベントChange Now 2024のフィードバック会
  2. プロダクトデザイナー横関 亮太氏による CYCLE PJ(サイクル プロジェクト)※3 の紹介
  3. 三井化学株式会社 宮下 友孝氏によるNAGORI®(海水から抽出したミネラル成分から生まれた新規複合材)、 MOLp®(そざいの魅力ラボ)※4の紹介

 
Change Now 2024のフィードバック

Change Now 2024のフィードバック

 
 
三井化学 宮下氏 プロダクトデザイナー 横関氏 エレファンテック 杉本氏によるラウンドテーブル

三井化学 宮下氏 プロダクトデザイナー 横関氏 エレファンテック 杉本氏によるラウンドテーブル

 
 
今後のコミュニティ活動ですが、杉本氏が4月22~26日にドイツで開催されるハノーバーメッセ2024に参加されるとのことで、FLEX Japan改め「サステナブル・エレクトロニクス」のためのコミュニティとしての次の活動は、5/14(火) 16:30からになりそうとのことです。

現在、このコミュニティでは新しいメンバーを募集しているそうで、エレクトロニクスのサステナビリティに興味、関心がある方は、下記までお問い合わせください。次回開催のお知らせが届くようになります。皆さんと集会でお会いできることを楽しみにしています。
【Sustainable Electronics Meetup参加問い合わせ先】
 SEMIジャパン カスタマーサービス部 沢田信之(nsawada@semi.org)

最後に、図研も、お客様であるエレクトロニクス企業が市場にサステナブルな製品を提供する際に、その開発を支援できるよう「サステナビリティ」「グリーンイノベーション」「環境経営」の動向には注目しています。情報誌「from Z」は、2023年度のテーマを「製造業における環境経営」として編集しています。デジタルブックを公開していますので、そちらもぜひご覧ください。

 

 
from Z vol.31
(エレファンテック社の杉本氏のインタビュー記事も掲載しています)
 https://www.zuken.co.jp/company/fromz31/index.html#page=1

from Z vol.32
 https://www.zuken.co.jp/company/fromz32/index.html#page=1

【脚注】
※1 FLEX :軽く・薄く・曲がるフレキシブルエレクトロニクスとリジッドなシリコン半導体のハイブリッド技術とそれを応用した製品のことです。フレキシブルデバイスの一つの製造技術である「プリンテッドエレクトロニクス」は既存の基板製造法とは異なり、必要な部分に必要な分だけ金属インクを印刷する製法なので、環境負荷が低くサステナブルという点が注目されています。

※2 LOPEC(International Exhibition and Conference for Flexible, Organic and Printed Electronics):プリンテッドエレクトロニクス中心のカンファレンス。今年のキーワードやトレンドが「サステナブル」だった。

※3  CYCLE PJ(サイクル プロジェクト)
 https://www.ryotayokozeki.net/cycle-pj

※4  MOLp®(そざいの魅力ラボ)
 https://jp.mitsuichemicals.com/jp/molp/index.htm

関連記事
市場競争力を高めるサスティナブルな製品開発
製品/サービス
市場競争力を高めるサスティナブルな製品開発