安全関連システムが、「ちゃんと動作して」リスクを低減し安全を維持するためには、システムの内部に発生する故障など、安全機能の動作を阻害する事件(故障やノイズなどによる障害)に適切に対処する必要がある。たとえば「LEDの光が遮られたら、プレス機の電源を遮断する」という安全関連システムがあった場合、LEDが劣化して光らなくなったら危険な状態になる。このようなケースでは、LEDが光らなくなる故障が発生したら、プレス機を停止するとか、バックアップのLEDを即座に光らせる、などが考えられる。このような、安全関連システムが、適切に動作するための内部の仕組みを、Safety Mechanism(セーフティーメカニズム)/Safety Measure(セーフティーメジャー)と呼ぶ。多くの場合、電子部品の健全性をチェックするための自己診断機能がこれにあたる。しかし前述のLEDの例では、「LEDが光らなくなれば」「プレス機に手が差し込まれて光が遮られた」とセンサーは判定するため、特別な装置がなくても、プレス機の電源は遮断される。このように、診断回路や診断の仕組みを入れずとも、万一故障した場合にも危険ではない方向にシステムが動作する仕組みを、安全システムにおけるフェールセーフ設計という。安全システムの設計者としては、フェールセーフの方向となるよう、システムを設計することが望ましい。そのためには構想設計段階の故障解析(システムFMEA)をしっかり実施し、よりよいアーキテクチャになるように努力する必要がある。