3年ぶりの実地開催「学生フォーミュラ2022」に協賛、およびテント出展
2022年10月31日9月6日から10日の5日間にわたり、静岡県袋井市/掛川市のエコパ(古笠山総合運動公園)で開催された「学生フォーミュラ日本大会2022」に協賛し、図研は3年振りに企業テントを出展しました。
学生フォーミュラとは
大学、高等専門学校、自動車大学校などの学生チームがオープンホイールでコックピットが覆われていない一人乗りのフォーミュラカーを自ら構想・設計・制作し、その走行性能だけでなく、設計コンセプトや量産コスト、販売戦略を含めた総合成績で競う学生モノづくりコンペティション、それが学生フォーミュラです。
1980年代にアメリカで始まり、今では世界各国で開催されています。日本大会は2003年から始まり、今年で20回目を迎え、3年ぶりに実地開催されました。
今回の大会には、54チーム(車検/動的審査辞退を除く)が競技に参加し、コロナ禍で入場制限されるなか、5日間の来場延べ人数は8,945名と、モノづくりに関わる多くの学生と企業がエコパに集結しました。
図研と学生フォーミュラ
図研は、サステナビリティへの取り組みとして、モノづくり環境・文化の発展に貢献することを目指し、次世代のエンジニア育成を支援しています。
その取り組みの一環として、学生フォーミュラ大会の協賛を通じて、未来のモノづくりを担う若きエンジニア達の挑戦を支援し、日本のモノづくり業界の発展に貢献したいと考えています。
実は、日本だけでなく、欧州やインドにおいても学生フォーミュラに挑戦するチームを支援しています。チーム協賛の他、電装設計CADのE3.seriesのライセンスや導入トレーニングを提供し、フォーミュラカー製作を支援する活動も積極的に行っています。
大会会場のテントの様子
全5日間の大会日程のうち後半の3日間、学生チームのピットエリアと、各種審査が行われるエリアとの間にある「企業PR展示エリア」に設置されたテント内で、協賛企業はPRをすることができます。
図研テントでは、自動車/輸送機器 E/Eシステムズ開発環境 E3.infiniteのデモ動画の展示や、図研の設計ツールで製作されたワイヤハーネスを展示し、自動車開発における図研の関わりを紹介しました。
電装設計に課題を抱えている学生チームも多いようで、電装設計ツール E3.seriesやE3.infiniteの説明に熱心に耳を傾けてくれる学生も多かったです。
自動車業界と同じく、学生フォーミュラにもEV化の流れがあり、ICV(ガソリンエンジン)クラスとEVクラスで分けて競技が行われ、近年はEVへクラスチェンジするチームも増えているそうです。EVクラスは、ICVと審査内容も異なり、特に電気システム関連の提出書類が多くこれまで以上に電装設計CADのニーズが高まっていると感じました。
ブースに来場する学生達と会話していると、ハーネスの設計図はPowerPointなどで作成しているチームも多いようで、E3.seriesの機能紹介をすると感心し、使いたいと興味を持ってくれました。
こうしてフォーミュラカー製作にかける学生達の熱い想いに触れ、また製作過程での困りごとなどの話を聞くなかで、図研として学生チームに対して支援できることを探っていきたいという想いが強くなりました。
大会走行に至るまでのハードル
学生達は、この会場への出場までに多くのハードルを乗り越えてきました。
1年間フォーミュラカー製作に多くの時間を注ぎ込み、取り組んできています。
まず、世界の学生フォーミュラ大会共通の数十ページになる英語のレギュレーションを読み解くところから始まります。その後、チームで協議しながらその年のフォーミュラカーを企画・設計し、スケジュールを組み、担当を分けて製作を進めていきます。まさに企業のプロジェクト管理と同じプロセスです。予算確保においても、協賛企業との交渉やプレゼン、そして部品調達におけるメーカー企業との交渉も製作と併行して行わなければなりません。また、車体のフレームなどの部品も自分たちで設計し、一から部材を切断・溶接するところから作り上げています。
クルマを動かすところまでも、果てしない工程があり、その後も大会に向けて、書類審査や静的審査(コスト・デザイン・プレゼン)を通過するために、膨大な設計ドキュメントや提案資料の準備が必要になります。
事前書類が整わず、出場を辞退するチームも多くありますし、実際に出場が叶っても、走行前の車検や動的審査を通過できず、会場にクルマを持ってきても走らせることもできないチームも本大会では特に多かったと聞いています。
こうした大会出場までのプロセスを知ると、学生フォーミュラにチャレンジする学生たちの精神力やモノづくりにかける想いの強さを感じずにはいられません。企業が学生フォーミュラに参加する学生を採用したいと思うのも、納得できますね。
このようなモノづくりの総合力を養う実践的な学生教育プログラムは、国内のモノづくりの発展において非常に価値があり、未来に向けて多くのエンジニアを輩出するためにもさらに盛り上げていかなければなりません。図研としても、大会協賛を継続し、その一翼を担っていければと考えます。