あるリスクが想定されるとき、そしてそのリスクが許容できない大きさの場合、何らかのリスク低減の対策を打つ。たとえば踏切事故が問題であれば、踏切をなくし、すべてエレベータ付きの高架橋にすれば、この世から踏切事故のリスクは限りなく小さくなる。現実には経済合理性から、このような対策ではなく、何らかの仕掛けでリスク低減を図る必要がある。
たとえば大きなプレス機械の場合、手を挟む危険があり、一方で、作業の手順上どうしてもプレスの合間に手を入れる必要があるとする。このような場合、プレス機に手を差し込む口に、LEDの光とセンサーを付けておき、手(手に限らず、足でも鉛筆など何か)がプレスエリアに入ってきたら、機械の電源を遮断する装置を取り付けたとする。「うっかり」プレスが動いている最中でも、このLEDセンサーが反応すればその瞬間電源が切れてプレスは停止するため、「うっかり」が「挟まれ事故」につながる可能性を低くすることができる。今の例えのなかで、「LEDの光が遮られたら、プレス機の電源を遮断する」という、安全のための、ある特定の1つの機能を、安全機能(Safety Function)という。
もしもプレス機に、「厚すぎる鉄板を挿入したら、プレス機が破裂する」危険があるのならば、「厚さセンサーで5mm以上の厚みの時は、プレス動作をスタートしない」という保護機能があれば安心である。これも1つの安全機能である。このプレス機械には、2つの安全機能(Safety Function)が取り付けられていると考える。このような安全機能達(安全機能の複数形)を、しっかり完全に作り運用保守して永続的に安全性を維持することを安全ライフサイクルという。安全ライフサイクルで行うべき活動をまとめたのが、機能安全規格(Functional Safety)である。