「IEC Tokyo」レポート

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

Seminar Report


エレクトロニクス分野における国際標準化と図研の取り組み
「IEC Tokyo」レポート


国際電気標準会議(IEC)は、電気・電子分野の国際的な規格化を行っている機関です。国際的な標準化の取り組みは、同時にそれぞれの国や企業ができるだけ自分たちに有利な形で規格が定まるように働きかけを行う、せめぎあいの場でもあります。今回日本で開催されたIECの年次総会「IEC Tokyo」への参加を通じ、国際標準化に向けての図研の取り組みをご紹介します。

2014年11月4日(火)から15日(土)まで、東京国際フォーラムにて、国際電気標準会議※1(以下「IEC」)の年次大会である「2014年IEC東京大会(78th IEC General Meeting in Tokyo)」が開催されました。日本での開催は1999年の京都大会以来15年ぶりで、4回目の開催になります。開催期間中は、53分野(TC/SC、WG/PT※2)、240の会議が行われました。


図研は現在EDAに関わる2つの技術委員会(TC:Technical Commitee)に関わり、JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)やJPCA(一般社団法人 日本電子回路工業会)が主催する国内審議委員会に所属し、毎月活動を行っています。

TC91 電子実装技術(Electronics Assembly Technology)
TC119 プリンテッドエレクトロニクス(Printed Electronics)

今回、これらのTCのエキスパート(発言し意見を述べることが可能)、オブザーバー(傍聴のみ、発言不可)として参加しましたので状況報告をします。エキスパート、オブザーバーともに国内対応委員会の承認の元、事前にIECに申請し登録することが必要です。


■ TC91 電子実装技術

TC91は1991年9月に、80年代の表面実装技術の興隆を背景に日本が主体となって立ち上げたTCで、幹事国は日本です。歴代の国際幹事役も日本が努め、リーダーシップを発揮しています。最近では鉛フリーはんだ実装に係る、多岐に渡る技術の国際標準化を主導しています。TC91は複数のWGから構成されています。今回のTC91会議では3つのWGに参加しました。

WG6 部品内蔵基板実装技術
WG11 プリント基板の電子データ記述
WG12 プリント基板と基板実装の設計

TC91会議は、次回 5月にシンガポールで開催されます。



WG6 部品内蔵基板実装技術

部品内蔵基板技術を担当するWG6は福岡大学友景教授が議長です。図研は、エキスパートとして参加しました。このWGには6カ国(日本、ドイツ、韓国、インド、イギリス及びフィンランド)から24名が出席しました。


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JPCA NEWS No.556(2015年1月号)より転載



図研では、部品内蔵基板の記述フォーマット(JPCA -EB02<FUJIKO format>)について、以前から国際標準を視野に入れて、フォーマット内容のレビュー/更新に注力してきました。今回この国際標準化について日本から提案を行い、条件付きですが、PAS提案(※3)をする承認を得ました。これにより、今後打ち合わせ回数を重ねて国際標準にしていく道筋ができました。国際標準になると、CR-8000 Design Forceは、部品内蔵基板の設計において国際標準に従った効率の良い設計、製造、検査できるツールとなります。


DF_002.png

表層から内層への部品移動



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受動部品とキャビティ


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部品内蔵基板と既存基板での比較(高速信号線路)


今回のTC91では、WG6以外のEDAに関連する2つのWGにオブザーバーとして参加しました。

WG11 プリント基板の電子データ記述
WG12 プリント基板と基板実装の設計

これらのWGでは、プリント基板や電子部品の三次元構造表現が検討されており、今後WG6との関連も出てくることになります。

こちらでの活動もお話できる段階になりましたらご報告させていただきます。

※1:  国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)は、電気・電子技術等に関する国際標準化や適合性評価等の活動を通じ、国際貿易の振興と製品やサービスの利用者の利便性向上に寄与する国際機関です。1906年に13カ国からスタートし、現在の加盟国数は82カ国、規格数は約7,000に上ります。

※2: TC=Technical Committee:技術委員会
   SC=Sub-Committee:分科委員会
   WG=Working Groups:作業グループ
   PT=Project Team:プロジェクトチーム

※3: PAS=Publicly Available Specifications : 規格作成の途中で公開する仕様書