☑Club-Z特集
中国CPCA Show レポート
「世界の工場」から「デザイン」の領域へ 中国プリント基板業界の今
2012.04.23
世界の工場と呼ばれて久しい中国。ありとあらゆるものがこの国で生産され、全世界に供給されています。プリント基板も例外にもれず中国で大量に生産され、全世界の35%の生産額を占めています。
中国にも日本電子回路工業会(JPCA)同様にプリント回路基板業界の工業会(China Printed Circuit Association : 以下CPCA)があり、業界全体の発展と会員企業育成をミッションとし精力的に活動しています。そのような活動の一環としてCPCA Showを毎年催し今年で21回目を迎えます。(ちなみにJPCA Showは今年で42回目)従来は、材料、製造装置、実装機、試験装置などの出展が中心の展示会でしたが、これからは設計にも力を入れていくとの方針から図研が最新の設計技術とシミュレーション技術を紹介するセミナーを開催する機会をいただきました。今回はその様子をレポートします。
■ CPCA Show 2012の概要
今年のCPCA Showは、2010年の上海万博の跡地に作られた巨大なコンベンション施設である上海世博展覧館にて、3月13日から15日までの3日間開催されました。出展企業500社、来場者50,000人、展示エリア25,000㎡を超える中国でも有数の展示会となってきています。
■ 図研セミナー「真のPCB品質は設計にあり」
2日目の3月14日の午後半日使って図研がセミナーを開催しました。CPCA副秘書長 顔永洪様の挨拶につづいて、図研の最新製品を3セッションに分けて講演しました。
- プリント基板設計環境、Design Forceの紹介
- 製造設計・製造性検証環境、DFM Centerの紹介
- シミュレーション環境、Lightningの紹介
CPCA Showでの「デザイン」に関する注目度は高く、図研セミナーには定員を超える聴講者が来場し、急遽イス席を設けるほどの活況でした。来場者は現地中国企業や教育研究機関の方をはじめ、日系企業を含む外資系企業現地法人の方など幅広くいらっしゃいました。
■ 聴講者から寄せられた感想
- 図研の製品がもつ技術レベルの高さに驚いた
- EDAツールはどこも大差ないと思っていたが認識を改めた
- こういったEDAツールは家電分野だけでなくこれから成長するカーエレクトロニクスの分野にも有望と感じた
他にも講演後に多くの質問と感想が寄せられました。
中国という国がこれから「世界の工場」としてだけでなくより付加価値の高い「デザイン」の領域にも力を入れていこうとする熱意を実感することができました。
参考: 中国のプリント基板業界事情
2011年度実績で、146億ドル。世界シェアの35%を占めます。過去3年間平均で11.1%成長しており、2014年には世界シェアの40%を越えるであろうとの予測です。しかし、製造、加工が中心でありCPCA会員企業の中で上流の設計はほとんど行っていないのが実態です。従来強みであった原材料費と工賃の急激な上昇によるコスト増により競争力が低下し、業界全体に危機感が漂う状況です。