(狭間) 「え・・・?終わってないんですかぁ?」
(合田) 「いやだから、終わったっつうの。」
『ここだよ!ここ!』
(狭間) 「え???ど、どこ?」
(合田) 「ぁあ?」
『これじゃ、このコネクタにケーブルを挿し込めないしー!』
(狭間) 「コネクタ?」
(谷川) 「狭間くん、どうしたんだ。」
(狭間) 「え?いま、コネクタにケーブルがどうのって。」
(細川) 「ナニ言ってんだぁ?おまえ大丈夫かぁ?」
(狭間) 「い、いや・・・(なんだ?誰の声?ディスプレイの方から聞こえてくるような・・・)」
狭間は、入り口の方から会議室の奥へ進み、声が聞こえてくるディスプレイの中を覗き込んだ。
『ちょっと、あんた!狭間くんだっけ?見てよ、ここのコネクタのところ。』
(狭間) 「
エ"ェーーーーー!
」
狭間は、右手の人差し指でディプレイを指差し、左のてのひらで大きく開いた口と鼻を覆い、声を上げた。
(合田) 「なんだよ!どうしたんだ?」
(狭間) 「部品がぁ・・・部品がぁ・・・電解コンデンサがぁ!!!」
『ケーブル側のコネクタを挿し込むときに、きっとうまく出来ないと思わない?』
気を失いそうになった狭間だったが、ふと前日の出来事を思い出した。
(狭間) 「(あのときの「イタイッ」と同じ声だ・・・)」
(合田) 「コンデンサの干渉箇所なら対応を検討済みだぞ。」
(狭間) 「あ、いや、なにか指摘している・・・
き、聞こえませんか?
」
(合田) 「いやだから、検討済みだっつうの!」
(谷川) 「いろいろ指摘したいのは分かるけど、もう少し落ち着いて話したらどうですか。」
『ったく~、みんな分かってないわね~』
(狭間) 「あ!コラおまえ!課長に向かって、失礼なことを言うな!」
(谷川) 「違いますよ!君に言っているんですよ!狭間くん!!」
(狭間) 「あ、違います違います、えっと、・・・はい、すみません。」
『っぶははーーー!』
(狭間) 「笑うなー!・・・あっ」
(合田) 「笑ってねーぞ、狭間。おまえおかしくなっちまったんじゃねーか?」
(狭間) 「う、うぅ・・・」
狭間はうつむいて何も言えなくなった。
『大丈夫~?』
(狭間) 「(やっぱり、僕にしか聞こえないんだ)」
上目遣いに再びディスプレイに視線を送ると、基板上に配置された円筒形をした電解コンデンサが、ニヤリと笑っている。

(狭間) 「(
あんなデータに変換した覚えはないんだけど
・・・)」
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