Club-Zコラム第50回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


同時にやるシクミづくりとヒトづくり。
やっと気づいた改革の本質

【第50回】逆境に強い人は人とのつながりを大切にする

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造

2015.09.17

こんにちは、RDPi 石橋です。

途中何度か別テーマをはさんでいますが、第42回から逆境力、回復力、復元力などと訳されている「レジリエンス(Resilience)」を高める方法を紹介しています。今回は6つ目「人とのつながり(Connection)」です。

東日本大震災では社会問題にもなりましたが、災害に遭った人たちや避難生活を送る人たちにとって、人との「つながり」や「絆」はとても大切なことでした。日常生活においても、話を聞いてくれる人や声をかけてくれる人がいるだけで、落ち込んだ気持ちがやわらぐと思います。

また、いくつかの研究によれば、他者との良好なつながりを持つことは、ポジティブな感情や生きる意味を増やし、精神的にも身体的にも健康な状態をもたらすことがわかっています。

人との良好なつながりを持つことは、辛いときや悲しいときにそこから抜け出す力を与えてくれるだけでなく、幸せな人生を送ることを約束してくれます。


人との良好なつながりを構築する技術

人との良好なつながりを構築するために大切となるのは次のようなことです。とても大切なことばかりですが、頭でわかっていても実際に行動できている人は少ないのではないでしょうか。

・強い関係構築
・前向きで効果的なコミュニケーション
・相手への感情移入や共感
・困ったときに助けを求める
・自分の仲間を助ける

ペンシルベニア大学でのレジリエンス研究によれば、このようなことができるようになるためには、次の3つのスキルを身につけるのが有効だということがわかっています。

 コミュニケーション・スタイル Communication Styles
 効果的称賛 Effective Praise
 積極的建設的反応 Active Constructive Responding (ACR)

今回はこの中のコミュニケーション・スタイルについて紹介します。


コミュニケーション・スタイル (Communication Styles)

「コミュニケーション・スタイル」を性格判断のように考えて診断テストができるようなサイトもありますが、コミュニケーション・スタイルはその名称のとおり「性格」ではなく「スタイル」であり、人によって固定的なものではなく相手や状況によって変わるものです。人によってとるスタイルの傾向はありますが。

目的や目標を達成するために意識的にコミュニケーション・スタイルを選んでいるのは問題ありませんが、無意識に、あるいは、慣れているだけで特定のコミュニケーション・スタイルをとっている場合は問題かもしれません。

コミュニケーション・スタイルは、「受け身(Passive)」「攻撃的(Aggressive)」「アサーティブ(Assertive)」の3つ、あるいは、もうひとつ「作為的(Passive-Aggressive)」を加えて4つに分類されます。ここでは4つの分類を紹介したいと思います。

a) 受け身(Passive)

意見や主張、要望、感情などを表現することを避けて、相手任せにしているコミュニケーション・スタイルです。自己肯定感が低く、自分を大切にしない場合にとりがちなスタイルです。

受け身のコミュニケーション・スタイルは、自分が嫌な状況に置かれていても表には出さないので、不平不満や苛立ちを自分でも知らないうちに積み上げてしまいます。自分でコントロールできないので、自分の許容範囲を超えてしまうと突然感情を爆発させてしまいがちです。そして、感情を爆発させた後はそういう自分を恥じたり、後悔したり、混乱したりして、その結果また受け身のコミュニケーション・スタイルに戻ってしまいます。

b) 攻撃的(Aggressive)

相手のことを抑えつけて、強い口調や責め立てるような態度で自分の感情や主張、要望などを表現するコミュニケーション・スタイルです。過去の心の傷が癒やされていなかったり、自分に力がないことを実感できていない場合にとりがちなスタイルです。以前に攻撃的なやり方でうまくいったりした経験があってそれを続けてしまっている場合もあります。

c) 作為的(Passive-Aggressive)

表面上は受け身(Passive)に見えるものの、目立たない方法や隠れた方法で攻撃的(Aggressive)な行動をとるコミュニケーション・スタイルです。不満や怒りを直接伝えるのではなく、相手に気づかれないような方法で傷つけたり困らせたりするのです。自分には力がなく、現状から抜け出すことができないと考えてしまう場合にとりがちなスタイルです。

d) アサーティブ(Assertive)

他者のことを抑えつけたりすることなく、意見や主張、感情などを明確に表現するコミュニケーション・スタイルです。他者のことを尊重した上で、自分自身や自分の時間や感情、体調など大切にする主張ができるのです。自己肯定感が高いということです。

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     図150 コミュニケーション・スタイルの特徴と影響



さて、あなたはこの4つのうち、ついとってしまうコミュニケーション・スタイルはどれでしょうか? 把握していますか? 図にそれぞれのコミュニケーション・スタイルの一般的な特徴と、続けたときの影響をまとめたので、ぜひ自分のコミュニケーション・スタイルを振り返ってほしいと思います。自分で把握することがとても大切です。